三井不動産寄附講義 不動産の社会科学

モノづくりは、一般に理系の専門分野ですが、不動産は文系出身者も携われる数少ない領域です。それは、不動産が単に建物などを建設するのみでなく土地や建物を使いこなすことが求められ、ここに“人”および“社会”が介在するためです。本講義は、不動産業全般に対する理解を学生に深めてもらいたいという三井不動産のお考えのもとに2016年度に発足しました。本講義の特徴は、講義形式とグループ演習形式を併用している点にあります。講義形式の回では、三井不動産の社員に講師をご担当いただきます。講師をご担当いただく社員の多くが本学の卒業生です。授業の内容は、不動産業の概説、商業施設、オフィスビル、住宅、ロジスティクス、スマートシティ、海外事業、不動産証券化と多岐にわたります。実際の現場における課題や課題克服のための取り組みを知ることは、大学の授業を通じて習得する一般的な知識がどのように現場で応用されているかを学生が理解することに役立ちます。さらに、卒業生に講師をお願いできることで、学生が自らの将来像を描きやすくなります。履修者からは、不動産業を知ることを通して社会経済全体の理解が深まったなどの感想を得ています。グループ演習形式は、5~6名1組でグループをつくり、「10年先を見越した不動産事業の新展開」という課題に取り組みます。10年先を見越すことは大変難しいですが、難しい課題であるからこそ履修者は積極的に取り組んでいます。授業の最後に報告会を開催し、三井不動産の社員と担当教員で講評します。本学では数少ないグループ演習形式の授業として、仲間とともに新しいアイデアを創造する実践的な学びとして、有益な機会を提供できています。履修者からは、グルーのメンバーと議論する面白さや新しい提案を考える難しさとともに楽しさを知ることができたなどの感想を得ています。以上のとおり、本講義はとてもユニークであり履修者からも好評を得ています。これは、三井不動産と本学が共同で授業を開講できているからこそ実現しているものです。