vol.5

一橋大学の卒業生で起業する方も増えていってほしいです。今後大学が学生や卒業生の起業支援に力を入れることを希望しています。

ご寄付者の声

湯本 達也さん

1996年商学部卒。J-STAR㈱パートナー。日本合同ファイナンス㈱(現ジャフコグループ㈱)を経て、2006年、J-STAR㈱創業に参画。

私は一橋大学商学部を平成8年に卒業しましたが、創立150周年記念募金の案内を見て初めて寄付をさせていただきました。実家は新潟の南魚沼市で和菓子屋を営んでおり、一人っ子だった私は子供の頃は店の手伝いをして、家のために働くことが商売人の家に生まれた宿命だと思っていました。一方で、東京へ行ってみたいという気持ちもあり、商売の最高学府である一橋大学を受験すると、両親は無理して家業を継がなくてもよいと言ってくれました。

入学後、最初の2年間は一橋寮に入り、その後2年間は中和寮へ入りました。寮での生活は急にたくさんの兄弟ができた感覚で、充実した学生生活をはじめることができました。3年生になってからは伊藤邦雄先生のゼミナールにも所属し、ゼミの仲間とも中和 寮で過ごすこともありました。

特に思い出深い出来事のひとつは、3年生の時に受けた楠木先生の「競争戦略論」の授業でのことです。自分の属している組織のことをレポートに書くことになり、私は自分の家族のことを書きましたが、そのレポートが授業で読み上げられ、楠木先生の計らいでゲストスピーカーとして父が授業に呼ばれました。車ではるばる一橋へ来た父は、うるち米をつかった地方特有の和菓子である「しんこもち」の生産について90分の授業を行いました。私だけではなく、父までも一橋とのご縁をいただき、これをきっかけに友人も実家へ訪ねてくるようになりました。父が80歳に差しかった今でも、「天下の一橋で授業をした」と語り草になっています。

伊藤邦雄先生のゼミでは経営分析や現場でのインタビューなどのケーススタディーを行っていました。社員が自分でモチベートできる活力ある組織はどんな組織かというテーマで卒業論文を書きました。 ジャフコに就職した理由も伊藤ゼミに誘ってくれた友人がベンチャーキャピタルのことを教えてくれたからです。サラリーマンになる発想はほとんどありませんでしたが、ベンチャーキャピタルというビジネスモデルが面白いと思い、最終的にはジャ フコに就職しました。

ジャフコで経験を積んだ後、同僚とともにJ-STARという会社を設立しました。私自身、起業に関わることになるとは学生時代には想像していませんでしたが、一橋大学の卒業生で起業する方も増えていってほしいです。一橋大学を卒業すると優良企業への就職も開かれていますし、自分の経験から、就職して数年社会人経験を積んだ上での起業も良いと思っています。今後大学が学生や卒業生の起業支援に力を入れることを希望しています。